皆さま、こんにちは。
プロジェクト事務補佐員の久志です。
1月7日(木)に行われた公開セミナーのご報告、その3です。
今日は理学部海洋自然科学科の本郷宙軌研究員の発表を紹介いたします。
「サンゴが造る防波堤の現在と将来:琉球弧にみられる特徴と気候変動による影響」というテーマで発表をされました。
サンゴ礁は天然の防波堤であり、外洋からの波高を礁嶺(サンゴ礁の外洋側の盛り上がった場所)で9割ほど減少させますが、高水温や海面上昇、堆積物の流入、工事など、自然と人為的な影響によって造礁サンゴを含むいろいろな生物に影響を与えており、現在では防波堤の形成が衰退の危機にあります。
また、琉球弧は世界で最も台風の影響を受ける地域なので、サンゴ礁の防波堤がとくに重要です。琉球弧の特徴は場所によって礁嶺の隆起量が違うことのようです。それに伴い波高減衰率も変わるそうです。そのため、隆起量の大きい島では防波堤の機能が高いようですが,隆起量の小さい島では海面上昇などの影響を受けやすいようです.
過去のデータではサンゴ礁は100年で0.6m上方に形成されていますが、現在のCO2の排出をそのまま続けていくと、今世紀末には海面が最大で約1m上昇するといわれています。現在のサンゴ礁防波堤機能を維持するためには,海面上昇1m分からサンゴ礁の成長分0.6mを引いた0.4m分を埋めるために礁嶺部でのサンゴ礁の移植や、砂・礫など堆積物の供給が必要のようです。しかし,その方法についてはまだ確立されていないので研究が必要である、ということでした。
今回で公開セミナーのご報告は最後になります。
お読みいただきありがとうございました。
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